2018.05.11

主力の資産運用事業では「既存事業の変革」に加え「新規事業」を推進

2018年3月期 決算短信ダイジェスト

◆経営の基本方針

人口減少社会を迎えたわが国の不動産市場では、不動産ストックの余剰とインフラ維持コストの増大を抑制することは差し迫った社会的課題です。

当社グループでは、不動産ストックの質的転換を進め、さらにその活用方法を進化させ、従来の不動産業を超える新しいサービスや社会的課題に対応する事業を創出してまいります。

◆目標とする経営指標

市況が変化しても価値創出にかかわるリスクを取り続けられる様に、自己資本比率は約60%以上を目処に ROEは10%以上を目指してまいります。

中長期的な経営戦略と対処すべき課題

当社は、不動産の利用方法を根本から見直す体験を積み重ねる中、社会が求めるサービスを既存の業態の中から発掘するだけでなく、今後世の中で必要とされる新たな事業を自ら立ち上げ、これに最適な不動産を組み合わせた資産運用商品を創り出すことに挑戦しております。

また既存事業の変革から大型及び海外案件の強化、サービサーや新規事業の拡大のスピードアップを図るため権限委譲を進め、新たな代表取締役の経営体制のもと当社の成長を加速させてまいります。

更に、取締役会長に就任する前代表取締役田中剛は、各事業を担う経営者を育て相互の関係を深め、また世界で活躍する内外の人材や技術との融合を図ることで当社グループを強化し新たなステージへ導いてまいります。

一つ屋根の下で全社員が力を結集

資産運用事業では「既存事業の変革」に加え「新規事業」を推進

三鷹リファイニング、西麻布の用途変更による大規模改修で長期安定資産を実現
三鷹リファイニング、西麻布の用途変更による大規模改修で長期安定資産を実現

セグメント別の状況

●資産運用事業(売上構成約85%)

当事業では、富裕層のお客様の資産内容と、事業承継や相続対策等の目的に応じ、例えばSPC(特別目的会社)や信託受益権等を活用したスキームを個々のお客様毎に考え、これに最適で将来性のある物件を提供し、お客様の目的を実現させるまで中長期にわたり価値創出を持続します。

取扱商品は、商業、オフィス、マンション、宿泊施設、教育施設、医療施設等と多岐にわたり、価格帯も数億円から数百億円まで幅広く提供します。

少子高齢化と人口減少に直面し建物の余剰が加速する日本社会において、中長期に安定し、希少性と流動性を兼ね備えた物件を提供する為には、「既存事業の変革」と「新規事業への挑戦」が不可欠です。

◇「既存事業の変革」では対象物件に唯一無二の価値を見出すテナントと直接対話を進め、最先端の大規模改修や用途変更を実施し、従来の常識を超えた価値創出を実現しております。

当連結会計年度の実績としては、たとえば吉祥寺・三鷹近隣の住宅地にある築44年の寄宿舎において初めてリファイニング工事を導入し構造躯体の信頼性と遵法性を明確にして検査済証を取得し、最先端設備を備え安心快適な約90戸の賃貸マンションとして再生させた長期安定運用資産を実現しました。

また六本木近隣の高級住宅地においては約260坪の整形地にある築10年の低層建築物をフルリノベーションし、日本初進出のバスク料理三ツ星シェフを擁するレストランウェディング「ENEKO Tokyo」と超高級賃貸住宅を組合せ誘致することで標準水準を大きく上回る賃料収入が得られる類例の無い商品も実現しました。

リベルテ東京、吉祥寺店2018年3月24日開業
リベルテ東京、吉祥寺店2018年3月24日開業

◇「新規事業への挑戦」では社会的課題に応じたテナントを自ら創出する力が問われると考え、コミュニティ型ホステルや高度医療手術専門クリニック等の全国展開を進めつつ、それ以外の新たなテナントの創出にも注力しております。

当連結会計年度における新たな取り組みとしては、フランス・パリのパティスリー・ブーランジェリーの世界展開1号店「リベルテ東京」を東京・吉祥寺にオープンさせ、地域コミュニティに中長期にしっかり根差すことができる飲食店舗の実現を目指しております。(プロジェクト一覧より「リベルテ東京」参照)

さらに今後、日本の労働人口減少に備え、キャリアを積んできた女性が出産後に子育てと仕事復帰を柔軟に両立できる仕組みを目指し新規事業「リブラ」を日本橋で立ち上げました。

当連結会計年度の当事業の売上高は、時間の制約に縛られることなく潜在価値を一層引き出してきた高価格帯の大型案件の販売もあり、37,641百万円(前期比31.3%増)、セグメント利益は10,513百万円(同71.7%増)となりました。


又、仕入にも注力し期末における販売可能商品在庫は販売価格ベースで約600億円に達しており、次期以降の販売に着実につなげてまいります。

●プロパティマネジメント事業(売上構成約7%)

当事業では、当社から収益不動産を購入され保有されるお客様の不動産保有目的を実現させるため、様々な用途の不動産の最有効活用を追求し、最適なテナントの誘致や各種調整を図り、きめ細かい建物賃貸・管理サービスを行っております。

当連結会計年度の当事業の売上高は3,244百万円(前期比53.8%増)、セグメント利益は1,109百万円(同 63.3%増)となりました。

●サービシング事業(売上構成約5%)

当事業は、主に連結子会社であるグローバル債権回収株式会社が、金融機関等から、主に自己勘定にて債権を購入し、これらの債権の管理回収等の業務を行っております。

当連結会計年度の当事業の売上高は2,269百万円(前期比4.3%増)、セグメント利益は234百万円(同62.2%減)となりました。

管理回収業務の質と量を高めていく対応として前連結会計年度に人員増強したこともあり、人件費等を中心に販管費が増加していますが、既存保有の買取債権の丁寧な回収活動並びに新たな債権取得を着実に推進してまいります。

●その他の事業(売上構成約3%)

当事業では主に、連結子会社である株式会社アセット・ホールディングスが保有するゴルフ場「レーサム ゴルフ&スパ リゾート」の運営を行っており、また新規事業では前連結会計年度より連結子会社である株式会社 WeBase(ウィーベース)のコミュニティ型ホステルの運営が立ち上がってきております。

当連結会計年度の当事業の売上高は「レーサム ゴルフ&スパ リゾート」の運営売上に「WeBase 鎌倉」 「WeBase 博多」の運営売上も加わったことにより1,118百万円(前期比36.7%増)となり、セグメント利益は、 新規施設等の初期コストもあり0百万円(同97.1%減)となりました。

当期の経営成績の概況

以上の各セグメントの業績の結果、当社の当連結会計年度の業績は、売上高44,274百万円(前期比31.1%増)、営業利益11,309百万円(同62.4%増)、経常利益10,953百万円(同63.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益9,234百万円(同41.5%増)と、前期比で増収増益となりました。