歴史的建造物を守り
現代に活かす

京都たわら庵

安易なスクラップ&ビルドは、同時に文化を破壊する行為でもあります。その地で数十年〜数百年かけて、営々と育まれてきた生活様式、文化、そして人々の思い。それらすべてが、けたたましい重機の轟音とともに、はかなくも無に帰してしまうのです。

残念ながら、専ら経済効率を理由に、そうした行為が日本中で行われているのが現状。この状況に歯止めをかけられないかと、レーサムは考えます。

京町家も、そんな危機に瀕する文化財のひとつです。その独特な細長い造りから、「鰻の寝床」とも呼ばれる京町家は、古都の象徴とも言える存在であり、長い歴史の中で、衣・食・住・働・学・憩の場として、京文化の揺り籠となってきました。建築様式、意匠、町並み、生活文化…そのすべてが貴重な文化遺産です。

しかし、京町家はその特殊な構造から、転用が容易ではありません。近年は取り壊されることも多く、日に日にその数を減らしています。

京都御所の南に位置し、京工芸の名工が代々住まい、かつ工房として歴史を刻んできた、築120年の京町家も例外ではありませんでした。延床面積が280㎡あるこの建物を改修して転用するためには、旅館業法上、全体を不燃材料建築に改築することが必須であり、現実的には解体するしかない状況にありました。

これに対し当社は、延床面積を200㎡未満に減らす、「減築」という不動産会社の常識を覆す方法で現行法制をクリアし、この希少な歴史建造物の保全を実現しました。そして、京都市や地元の皆様のご指導とご支援を賜り、熟練の大工や庭師等の皆様の志と熱意に支えられ、伝統的な建築、意匠をそのままに、居ながらにして京都の奥深い歴史を感じられる宿泊施設「たわら庵」として再生させました。

歴史と文化が醸し出す唯一無二の空間は、ご宿泊のゲストに特別な時間を味わっていただくだけでなく、ご家族のお祝い事や、同窓会などにもご利用いただき、また企業幹部の方々に、日常の喧騒を離れてオフサイトな交流を行う場として活用いただいくなど、不動産価値としても高いポテンシャルを発揮しております。2020年2月には、京都市による「京町家の個別指定」もいただきました。

平安京に由来する奥行50mの敷地に建つ京町家邸宅が、基本的な遵法性を満たす宿泊施設として復活した「たわら庵」。ともすれば消える運命にあった貴重な文化財を、現代における経済価値を見出しつつ、後世に引き継ぐことができたのは、大きな喜びでした。