挑戦者であろう

事業牽引役としてのサービサー/事業再生の新展開

 私は大量供給モデルからの脱出を胸に、バブル崩壊の年、1992年に当社を設立しました。当時建物は、古くなったら壊し、土地に付着する余計なものとの考え方が支配的であったため、まずは築古でテナントが付いている物件が正当な価格で取引される市場を創り出すことに集中しました。

 特に、金融の担保評価システムを乗り越えるため、日本で初めて多数の債権(ローン)を銀行からまとめて買い取り、その担保不動産を流通させ、また正常な所有状態にある国有財産も、築古でテナントが付いている物件は流通しなかったため多数の国有不動産をまとめて買い取り証券化して販売するビジネスを日本で初めて実現しました。

 さらに国際的格付会社から不良債権処理事業の格付をいち早く取得しサービサー事業にも力を入れ、不動産担保ローンを取り扱うノンバンクの事業再生を進め、その後の大手金融機関への売却で、期間7年・純益約100億円の結果となり、小さな矛盾が大きな企業価値を生み出すこと、業界の習慣や金融の評価システムは、常に時代の後から変化していくことも肌で学びました。

 その後、当社のサービサー事業の債務者約1万1千人、債権総額元本1兆7千億円の回収実績を踏まえ、今後は成長国の不良債権処理の市場開拓を進め、国内では他金融機関の債務を当社債権に統合し債務者の優良事業を復活させ、事業再生投資や事業承継問題にも対応し、M&Aも展開します。

既存事業の変革と大型事業への新たな挑戦

 投資用不動産が適正な価格で流通する市場が生まれたことにより、当社は不動産ストックの質的転換にフェーズを移し、極端に古くなった都心の大型複合ビルに残る多数のテナント移転の問題解決や最先端の技術を駆使した大規模改修、耐震補強に取り組みました。また時代の変化を予測し、物件の用途変更で時代に適合する新しいテナントを誘致することにも取り組みました。

 これらの取組みの多くは前例がないため私たちが取得する時点では改善にかかる時間やコストを見積もることが出来ません。しかし、レーサムは「何のために」あるのかという気持ちを強く持ち、困難な案件に次々と取り組み、物件価値が飛躍的に高まる沢山の実績を積み上げています。

 評価額が50億円を上回る大型事業の分野でも、従来は単独で取り組み厳しい状況を経験してきましたが、今後は思いを共にするお客様、パートナー、周囲の地権者の皆様との絆を深めながら連携し、中長期に持続可能な先進的街づくりに挑戦しております。

新規事業への挑戦

 お客様の立場に立ったとき、トラックレコードが十分あって予想しやすく整理された投資商品ほど、時代変化に対応できずに中長期リスクが大きくなってきます。未来に対する商品開発は、新しさゆえにリスクが高く見えますが、むしろリスクをマネージすることになると考えています。

 当社は、不動産の利用方法を根本から見直す体験を積み重ねる中、社会が求めるサービスを既存の業態の中から発掘するだけでなく、今後世の中で必要とされる新たな事業を自ら立ち上げ、これに最適な不動産を組み合わせた資産運用商品を創り出すことに挑戦しております。

 たとえば、若者が減少する日本に、世界中の若者が長期滞在を楽しみ地域とつながる場となるコミュニティ・ホステルの運営に加え、高齢化で急増する病気にいち早く対応し健康を取り戻していただく高度医療専門手術センター、そして地域コミュニティに末長く愛され健全な経営を持続できる店舗の開発も進めております。さらに日本の労働人口減少を踏まえ、子育て中の女性がキャリアを維持し社会と柔軟につながりながら活躍できる仕組みを目指す新事業も立ち上げました。

「挑戦者であろう」

 私は「可能性を信じて、変化を追求する社員達」を当社最大の資産だと考えています。多くの規制に縛られた「不動産投資」を「新たな付加価値を生み出す事業」として作り直す(創出する)ことは並大抵のことではありません。ユニークなアイデアと、多くの困難を越えていくガッツ、お互いを助け合うチームワークが一体となり、はじめて可能となります。

 そして、新たな価値を創出した先には、大きな収益と不動産に関わる人たちの生活に新たな可能性を提供します。今の日本には先が見えないことによる停滞感が蔓延しています。だからこそ、挑戦の先にある未来と可能性を信じて最大限努力することが社員一人ひとりに、ビジョンを与え、エネルギーを与えると信じます。

 私は、ここ数年レーサムの未来を担う人材を育ててきました。今現場において、既存事業を変革し、大型案件に備え、新規事業を次々と推進しているのも、このメンバー達です。これを踏まえ、事業拡大のスピードアップを図るため、新たな経営体制に権限委譲を進め、レーサムの未来を託します。

 その上で私は、第2、第3の新たなレーサムを次々と生み出すグループ経営の指揮に専念します。新たな経営者を育て、相互の関係を深め、世界で活躍する内外の人材や技術との融合を図り、当社グループを強化し、新たなステージへ導いてまいります。

今後ともご支援賜りますよう心よりお願い申し上げます。


2018年5月
代表取締役社長
田中 剛