一般に、本人が相続税対策をしなければならないと思っている人ほど、相続対策が必要でない場合が多い。
例えば、都心一等地の200㎡未満の土地に高度利用した古いビルをご所有で、その賃貸収入を得ており、更にそのビルが時価ベースでご自身の総資産の半分程度を占めているというお客様。その多くが借入も無く十分な現預金をお持ちであり、相続により資産を減らしてはいけないという意識も高く、相続対策を急がれてしまう傾向があると認識しています。

しかしながら、我々はそのような現預金があり且つ価値の高い不動産を保有されているお客様こそ、追加の節税対策を行ってはいけないと提案しています。

むしろ、節税対策を急がねばならないのは、広大な土地を所有されている地主の方々であると考えています。
何千・何万㎡の土地を持ちながら、その土地の路線価より時価が低い場合には、相続時にほとんど手放さねばならない事態を我々は多く目の当たりにしているのです。

また、お客様の中には、相続税対策のために更に不動産を購入し、現預金等の金融資産を減らすことが得策と考え当社にご相談いただくケースもあります。しかしながらご所有の不動産の時価と相続税評価額の差が大きいならば既に節税が有効に機能している状態であり、追加購入には節税以上のリスクを伴うことも正しく認識しなければなりません。

※      ご所有の不動産の特性上、小規模宅地等の課税の特例が適用されていること等から、相続税の対象となる評価額は100となり十分に節税が働いている状態なのです。

【上図の注釈】
※      ご所有の不動産の特性上、小規模宅地等の課税の特例が適用されていること等から、
相続税の対象となる評価額は100となり十分に節税が働いている状態なのです。
※     相続人は配偶者とお子様1人を想定しています。

上図の資産背景のお客様が、節税目的で金融資産2億円を用いて、時価2億円(相続税評価額1億円。購入時の年間賃貸事業収益1100万円に対する利回りは5.5%となる。)の不動産を追加購入できた場合、4000万円の節税効果を得られます。一方、この不動産を売却したい時点の利回りが購入時より1.5%上昇し7.0%であったならば、売却において4300万円の損失が発生してしまうことになるのです(下記参照)。

要求利回りが7.0%となった場合の売却価格は

年間賃貸事業収益1100万円 ÷ 要求利回り7.0% = 約1億5700万円

となります。よって売却損4300万円が発生します。

よって、追加購入により享受できる節税効果と不動産価格の変動リスクのバランスは常に詳しく調査する必要があり、追加購入は必ずしも得策にならない場合があるのです。

当社はこの様に検討結果を全てお客様に開示し追加購入をお勧めしない提案をすることもあります。そのお客様はこの提案にびっくりされていましたが良心的な提案であると評価いただきご満足いただいています。