代表取締役からのご挨拶

 私は、日本の不動産取引の矛盾を是正するべく1992年株式会社レーサムを設立致しました。当時日本で最も高く評価される不動産は、①更地、次に②テナント空室の建物&土地、そして最も評価が低いのが③テナント付建物&土地であり、「壊して作る」が常識だったのです。
 私は、そもそも収益価値をもたらす③テナント付建物&土地が最も高く評価されるべきと考え現状との矛盾に着目し、そのオーナーチェンジのセカンダリーマーケット創出の起爆剤となるべく起業に至りました。
 また起業してまもなく、日本では不良債権問題がクローズアップ、やはり不動産担保付不良債権の世界でも、①更地は不況の中での値段調整次第で売れても、③テナント付建物&土地の取引は滞るという現象が発生しました。この矛盾解消も、まさにレーサム設立趣旨の真骨頂であり、私たちは不良債権の市場創出にも挑戦することとなりました。

 不動産投資のプロに最も求められる能力は、将来のキャッシュフローの予測であります。人口動態、空室率、賃料の上昇や下落のみならず、用途や容積の変化による街の変化から、対象物件がどのような影響を受けるかを十分に検討しなければなりません。必要な改善策を準備した上で、投資の決定と運用ができるかが問われています。
 都心では、開発できる更地が少なく、既存建物の中には、より収益力が高いテナントが入居する機会を奪う日本の借地借家法の問題もあります。鑑定評価においては、過去の取引事例に影響を受けすぎ、予想される将来の収益からみた価値を査定するのは困難です。
 当社は、サブプライムローン問題、リーマンショック、3.11(東日本大震災)の打撃を受けながらも、借地借家法の矛盾と対峙し、不良債権の権利調整を日常的に行いながら、不動産投資機会の創出を続けて参りました。そんな中私たちが身に付けたコア・コンピタンスは、物件が生む将来の収益予測の精度の高さです。それを通じて、まだ市場が気付いていない潜在価値が顕在化される時に生まれる追加の収益により、投資家に対して、より高い安定性や収益性を提供できると自負しております。一方で、当社が途上段階である点は、社会に対する説明力や、開発可能な立地に対する建物のデザイン、国際的なリーシングネットワーク等です。これらの必要な力は外部との連携や中途採用によって補充する必要性を認識しております。

 GDP520兆円の日本で、不動産は2,500兆円あると言われており、そのうち証券化されたものは40兆円に過ぎません。これはGDPの30%以上の不動産が証券化されている米国の状況に照らし合わせれば、日本では今後約150兆円になる可能性もあるということになります。つまり、証券化されない不動産は約2,350兆円も存在しているということです。この潜在市場を踏まえ、当社は、未来においても社会的役割を果たせる物件を目利きし、その潜在力を収益に変えるプロセスをお客様と共に体験して参りたいと考えております。

 私たちは、学んできた以下三つを生かし、未来に繋げる所存です。
 第一は、一時的に市場が流動性を失った時に耐えられるバランスシートを保ち、取れるリスク量の範囲で行動する規律を保つことの重要性を学びました。
 第二は、この20年間の不動産証券化の流れの中で、業務が極端に細分化された結果、水平分業化されたチームを監督する管理職の数も増えました。これらの良い面としては細分化された業務の一つ一つを容易に分担出来ることにあります。しかしながら、組織の縦方向にも横方向にも情報が正しく伝わらなくなり、顧客に求められているサービスより個別部門の都合が優先してしまう事態に陥ってしまいました。私たちは、この問題に2009年から取り組んで参りました。水平統合及び垂直統合を推し進め、個人のコア・コンピタンスを発揮しやすい環境を整え、様々な課題を乗り越えつつあります。今後は更に強化して参ります。
 第三は、サブプライム問題、リーマンショック、3.11(東日本大震災)は、大きな試練の場でありましたが、私たちの事業を絶対に社会に残すという強い情熱こそ何よりも大切なのは言うまでもありません。当社が創業以来21年間に主体的に起こしたこと、起きたことは、それ以前の不動産業界の体験に比べ、変化のスピードが速く、スケールの大きなものでした。長期的価値を左右するものは、利益率や成長スピードでもなく、ましてや多様な物件タイプでも一国内分散投資でもありませんでした。 

  現在当社が推し進める、垂直統合及び水平統合の最適なバランスは、お客様・取引先を十分巻き込むレベルに達して初めて特別な価値となると信じています。ステイクホルダーの皆様とのより強い絆が生まれるよう、全力で邁進して参ります。22年目からの当社の挑戦にぜひご期待下さい。

2013年5月1日 創立21周年にあたり思いを馳せて